活躍する卒業生
世界で活躍している卒業生
30期生 齋藤 花重 先生
University of Maryland School of Dentistry
30期生として卒業しアメリカに渡ってからもうすぐ四半世紀となります。初めはNew York University College of DentistryのInternational Dentists向けプログラムに留学をし、同大学院、学内研究所勤務を経て専門医課程を修了し、Periodontology and Implant Surgeryの認定医となりなした。その後、2012年からUniversity of Maryland School of Dentistryで勤務をしており、
現在はDepartment of Advanced Oral Sciences and Therapeuticsで臨床准教授をしています。卒業した時は臨床研修が必須でなかったこともあり卒業後すぐの秋学期からの留学でした。
現在の仕事の内容は、歯学部生・レジデントの教育、臨床・基礎研究、そして自分の診療とさまざまです。昨年、米国歯科医師会の部会から認可を受けた新しい専門医プログラムDual Certificate Program in Periodontics and Prostheticsを立ち上げ、ディレクターに就任しました。新しいプログラムが必要とされていることからも分かりますが、教育現場でのAIの普及を始め、学術面でも技術面でも歯科という分野は刻々と進化し続けていいます。我々歯科医師も日々知識や技術をアップデートし続ける必要を実感しています。歯学部はその第一歩を踏み出す大事な場所です。当時の私は、サポートの仕組みがない中でも留学したいという気持ちが原動力になっていたように思いますが、現在では提携校など留学先も充実し様々な選択を叶えられる環境が整ってきています。みなさんにとって、岩手医科大学歯学部が希望の拓けた学びの場になることを願っています。
各大学で活躍している卒業生
20期生 武部 純 先生
愛知学院大学歯学部有床義歯学講座 主任教授
同期との出会い、恩師に恵まれた母校を振り返り思うこと
2015年に愛知学院大学歯学部有床義歯学講座の主任教授として赴任し、本年度で武部教室開講10年目を迎えることができました。今日、こうして他大学で仕事ができるのも、ひとえに母校、岩手医科大学歯学部および歯学部同窓会の皆様方からのご指導・ご鞭撻の賜物と厚く御礼申し上げます。
歯学部20期生として1984年4月に入学し、学生時代を過ごした寮生活(名須川町 圭友会館(当時))では学部を越えた交流がありました。右も左も分からない新入生に対し先輩方はたいへん親切で、試験前の資料の共有や、週末は寮内で飲み会(現在の学生間交流会)を催すなど、同じ釜の飯を食べた仲間として数え切れないほどの楽しい思い出を得ることができました。在学中はバドミントン部に所属し、歯学体への遠征や他大学との交流戦など、とても思い出深いものがあります。寮生活や部活動で出会った方々との繋がりは途絶えることなく、時折、学生時代の話題で盛り上がります。学部の同級生にも恵まれ、進級・卒業・歯科医師国家試験を通じて戦友さながらの仲となり、今も交流が続いています。
私は学生時代から、将来は伝統的で歴史ある母校で臨床・研究の仕事をしたいという強い希望を抱いていました。当時は、臨床研修歯科医師制度がまだ確立されておらず、歯科医師免許取得後の選択肢は、副手(現在でいう医員)か大学院のどちらかでした。1990年3月に卒業した後は、大学院歯学研究科(歯科補綴学第二専攻(当時))へ進み、主任教授 石橋寛二先生(現岩手医科大学名誉教授)をはじめ、諸先生方のご指導のもと、生体組織/生体材料のインターフェイスにおける細胞挙動、生体材料の生物学的評価と臨床応用に関するトランスレーショナルリサーチの基本を学びました。同博士課程修了後は、歯科補綴学第二講座(当時)に入局。講座の専門分野であるクラウンブリッジ補綴学の他、有床義歯補綴学、顎顔面補綴学、口腔インプラント学における基礎から臨床まで幅広くご指導いただきました。
医療系総合大学である岩手医科大学歯学部の素晴らしい点は、学部や講座、診療部の垣根がなく、教育、臨床・研究を広く学ぶことのできる環境にあります。各講座の扉は学生に常に開かれており、気軽に講座の先生に質問等ができ、患者さん中心の医療やチーム医療の基本、多職種連携教育(IPE)を深く学ぶことができます。また、自らの専門領域以外にも多くのことを会得できる、たいへん魅力のある大学です。
大学院および歯科補綴学第二講座で得た25年にわたる教育・臨床・研究生活は、私にとって掛け替えのない経験であり、歯科医師人生を与えてくれた母校、岩手医科大学歯学部に深く感謝しております。
28期生 小栗 千里 先生
橫浜市立大学大学院医学研究科 顎顔面口腔機能制御学
盛岡の経験を心の礎に
冬の盛岡は白く美しい雄大な岩手山に目を見張ります。肌に染み込む寒さを感じますが慣れるとそれが不思議と心地良くなり, 寒さに反し盛岡の人々はとても暖かく優しかった。冬が過ぎると透き通る青空と心奪われる景色が待っていました。そんな盛岡の地で, 勉強は最低限に, 卓球部とオーケストラ部に所属し, 授業が終わると二つの部活が入る(旧)第二体育館に向かう充実した毎日でした。一方で熱意ある授業, 時に患者さんへの思いがほとばしる臨床実習指導を受け, 本気で語り合える友人や暖かく優しい盛岡の人々との交流を経て, 誠実に歯科医療を全うしようという心の基礎, 覚悟が育まれたと思います。臨床実習で口腔がん患者さんの意気消沈したお顔を見た時, 私の方向性が決まりました。卒業後は東北大学第一口腔外科に入局, 博士号を取得し, 恵佑会札幌病院歯科口腔外科, 癌研有明病院頭頸科と, 修行を重ねました。その後, 横浜市立大学顎顔面口腔機能制御学教室に入局, ニューヨーク・メモリアル・スローンケタリング・がんセンターに留学経験し今に至ります。お一人ずつ違う口腔がん患者さんにとっての「最善」とは何かを常に考えています。口腔がん手術では, 再発・転移・命は術者である私の手にあり, 私の責任です。いかに再発しない手術, 治療ができるかを考え, 日々追求し, わずかながらも一歩ずつ前進しています。
より誠実に医療と向き合う気持ちを育んでくれた, そして暖かく優しかった盛岡の思い出は時に私の胸の中に優しく流れ, 多くのハードルを乗り越える源になっています。皆様もどうか盛岡で, 掛け替えのない素敵な経験を心の礎にしていただければと, 卒業生として祈念致します。
地域で活躍している卒業生
25期生 金村 清孝 先生
岩手県滝沢市開業 こだま歯科医院
私は大学院をあわせて22年間岩手医科大学に在籍し、特任准教授として診療、教育、研究に取り組みました。特に臨床と教育に力を注ぎ、主任チューターとして学生指導に関わり、臨床では4つの専門医、指導医を取得し、貴重な診療経験を積むことができました。また医局活動では、医局長、外来医長を経験し、組織の重要性とスタッフマネジメントの難しさを学びました。
現在は岩手県滝沢市で開業し、地域医療に努め、一次医療機関の補綴歯科、顎関節症専門医として大学病院との連携しながら取り組んでいます。一方岩手県歯科医師会では入会間もなく理事を拝命しました。また岩手医科大学の非常勤講師として関わりも継続しています。
岩手医大の教員は、本当に面倒見の良い先生が多く、学生時代からサポートして頂きました。卒後間もない大学院生当時は、寝る間を惜しんで臨床トレーニング、学位の研究し、先輩を捕まえては昼夜問わず厳しく指導を受けました。今の私を支えているのは、その頃経験した様々な苦労や困難だと振り返ることができますし、様々なトラブルにも冷静に対応できる判断力が身についたと思います。
大学では、目標を高く持ち、学位や専門医取得等を取得することを勧めます。その中で厳しい状況を乗り越えた同じ志の仲間(先輩、後輩)との人脈という財産を手に入れることができます。目先の収入も大切ですが、卒後間もない頃に自分を追い込むことができた岩手医科大学での経験が、今の私の臨床、社会活動を支えていると確信しています。