教育方針
教務委員会からのメッセージ
6年間の学びの概要
岩手医科大学は医学・歯学・薬学・看護学の4学部をもつ医療系総合大学としての特色を活かし、各学部の緊密な連携のもとに、学部の垣根を越えた教育を実施し、総合的な医療人を育成しています。4年生まではすべての学部が矢巾キャンパスにあることから、学部を越えた連携のもと、チーム医療に触れられる環境です。歯学部での教育カリキュラムは、歯科の専門的な科目に加えて、全4学部合同での科目を開講しているところが特徴的です。さらに、岩手県歯科医師会や地域の介護施設のご協力により、低学年から歯科臨床現場や看護、介護を体験します。これらにより地域医療の貢献のための素養を身につけ、専門職どうしの連携への理解を深めることができます。また、1~6年を通して希望者の海外英語演習を実施し、国際的な思考と素養を身につける機会を設けています。
岩手医科大学歯学部では豊かな教養と人間性を涵養し、全人的医療を実践し、歯科医学、歯科医療ならびに口腔保健の進歩発展に寄与することのできる人材を育成すること目指しています。なお、カリキュラムは学生の意見や社会環境の変化を踏まえて、改善見直しを図っています。
カリキュラムの説明
1年次
教養科目に加えて、歯学部の専門科目として、歯科医学概論、解剖学、組織学、生理学、生化学、基礎歯科学入門、臨床歯科学入門を学修します。歯科医学概論では全人的医療基礎講義など、医療人としての基本的な概念から多職種連携までの幅広い概念を学びます。また、内丸メディカルセンターの先生方の外来見学、看護、介護体験実習を通して医療人としての基本姿勢を学びます。
2年次
1年次の基礎系科目に加えて、医療統計学、微生物学・免疫学、薬理学、病理学、歯科理工学、衛生・公衆衛生学を学修します。また、多職種連携教育の一環として実施している歯科専門体験実習では、開業歯科医院での研修と歯学部の講座・分野での体験を通して、歯科医療で必要なチーム医療における歯科医師の果たすべき役割と態度を学びます。
3年次
基礎系科目の免疫学、薬理学、病理学、歯科理工学に加えて予防歯科学、医科学総論、歯科放射線学を学びます。後期からは歯科放射線学が継続され、臨床で歯科医療を提供するために必要な画像診断を学びます。さらに歯科医療提供の基礎である法や制度は社会と歯学で、医療コミュニケーションや基本的診療姿勢などは患者を診るためのイントロダクションで学びます。その後、初めての治療学として硬組織・歯髄・歯周組織疾患に対する治療法を学修します。また、リサーチマインドの教養を身につけるため、基礎系講座での研究の一端に触れる演習(基礎科学演習)を開講しています。加えて、チーム医療リテラシー、医療リベラルアーツでは、医療を取り巻く環境を学修するとともに、専門職連携で必要な知識と教養を身につけます。コア歯学教育演習基礎では、3年次までに履修した基礎系科目の知識の確認を行います。
4年次
臨床系科目の補綴歯科、医科学、全身管理と歯科麻酔、口腔外科的治療、成長発育歯科医学と障害者の歯科治療、高齢者歯科医学、法歯科医学・災害歯科医学を学修します。コア歯学演習では、臨床実習に必要な基礎知識と基礎技能の確認を行います。後期には、5年次で診療参加型臨床実習に参加するための共用試験(知識の総合理解力を評価するCBT、基本的診療技能・態度を評価する診療参加型臨床実習前客観的臨床能力試験)を受験し、これに合格した学生はスチューデントデンティストとしての資格を得ます。
5年次
スチューデントデンティストとして、診療参加型臨床実習に取り組みます。学内では、それぞれの診療科で診察、診断から治療計画を立案し、指導医のもとで実際の治療を行います。学内での臨床実習に加えて、学外の診療所等での地域医療体験実習、介護施設での介護体験実習を行い、地域医療への貢献と多職種連携に必要なことを学修します。また、歯科臨床に必要な医科学、歯科医学全体の振り返りを行うために総合講義を受講することで基礎知識の確認を行います。5年次には診療参加型臨床実習後客観的臨床能力試験と総合講義 I 試験を受験することで、歯科臨床で必要な知識と技能と態度の確認を行います。
6年次
4学部合同セミナーでは、医療現場で多職種連携に必要な各専門職の立場を理解した意見が議論できるように取り組んでいます。6年次の総合講義 II では歯科医師国家試験に向けて、基礎知識、一般知識と臨床実地での知識の確認を行います。
ディプロマ・ポリシー
岩手医科大学 歯学部学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)
本学の建学の精神「医療人たる前に、誠の人間たれ」を深く理解したうえで歯科医師として必要な知識・技能・態度を修得し、チーム医療や地域社会において活躍できる歯科医師として以下の各資質を身につけ、かつ所定の課程を修めた者に対して学士(歯学)の学位を授与します。
- 歯科医師として患者や地域住民の健康と生命を守るという責務を理解し、高度な専門性と豊かな人間性と倫理観を有すること。(プロフェッショナリズム)
- 患者・家族や他職種と良好な人間関係を築くためのコミュニケーション能力を備えること。加えてICT <Information and Communication Technology> を利用したコミュニケーションを図るためのスキルを身につけていること。(コミュニケーション能力)
- 医療チームの一員として、相手の立場を尊重しお互いの協力のもとに医療を円滑に実践すること。(チーム医療の実践能力)
- 科学的な根拠をもとに統合された知識、技能、態度を有し、全身的、心理的、社会的状況に対応可能な総合的な診療を実践すること。(包括的歯科医療の実践能力)
- 地域の保健、医療、福祉、介護の現状や問題点を把握して、地域医療の向上に取組む態度・技能が備わっていること。(地域保健・医療の実践能力)
- 歯科医師として求められる基本的診療技術を高い水準で修得していること。(高水準の診療能力)
- 国際的な保健・医療活動に貢献するための態度と基本的な語学能力を有すること。(国際貢献への資質)
- 歯科医学や医療の発展に寄与する研究を遂行するために必要な知識と技能を有すること。(研究マインドの保持)
- 生涯にわたり歯科医療に対する自己研鑽を続ける態度が備わっていること。生涯学習のためのICTスキルを含む情報リテラシーを有していること。(生涯学習の実践)
以上の教育成果を達成することができるように六年一貫でカリキュラムが構成されています。本学のすべてのカリキュラムを完遂し、年次ごとの科目を着実に修得することが必要です。そのため、学則第2条に定める期間を在学し、かつ第6条に定める所定の授業科目及び単位を履修修得しなければなりません。その上で、各学年および卒業時に定められた成果評価試験(筆記式の試験、客観的臨床技能試験、態度評価)に合格したものを卒業とし、学士(歯学)の学位を授与します。
カリキュラム・ポリシー
岩手医科大学歯学部教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)
学士(歯学)の学位授与の方針を実現するために、汎用的な共通教育科目と、幅広い分野にわたる基礎専門科目、より専門的な臨床専門コース(科目)による教育課程を整備し、体系的な歯学の履修を可能にします。
- 歯科医師の社会的責任を自覚し、初年時から継続的なプロフェッショナリズム教育を行います。(プロフェッショナリズムの育成)
- 患者やその家族および他職種とのコミュニケーション能力を高めるため、医療面接を理解し体験する科目、チーム医療に関する科目を設置します。それらの科目のなかで、ICT を利用したコミュニケーションを図るためのスキルについても学修します。(コミュニケーション能力の向上)
- 地域の医療施設ならびに居宅、福祉施設等で多職種と協働して適切な保健・医療を提供するためには地域保健・医療の問題点の疫学的把握方法、職種間の相互理解と円滑なコミュニケーションが必要です。そのために社会歯科学系科目に加え、演習によるシミュレーション、現場実習等を行うコースを初年次から6年次までに設置します。(地域保健・医療、チーム医療の実践能力の育成)
- 科学的根拠に基づいた診断と歯科診療の計画立案ならびに実践のために、基礎、臨床科目を統合した、包括的、診療時系列的学修のためのコース制学修をはじめとする包括的臨床科目教育を実施します。(包括的臨床歯科医学教育)
- 歯科医師として求められる基本的診療技術を高い水準で獲得するために、スチューデントクリニシャンシステムを導入し、自験を充実させた診療参加型実習を行います。(高水準の基本的診療能力の獲得)
- 国際的な歯科医療活動に参加するための基本的な英語能力を身につけるために、歯科医療に関連する英単語から英会話を学習する歯科専門英語の科目を設置します。さらに培った語学力を実践する国際的体験コースを設置します(選択制)。(国際貢献の資質の育成)
- 歯科医学や医療の発展に寄与する研究マインドを涵養するために実際に課題に対する研究を行う科目を設置します。(研究マインドの涵養)
- 生涯にわたる自己研鑽を継続するために必要な問題発見・解決能力を身につけるため、プレゼンテーション、PBLなどの能動的学習機会を各科目に設けます。これらの中で生涯学習に必要なICTスキルを含む情報リテラシーを学修する機会を設けます。(能動的学習の習慣化)
アドミッション・ポリシー
アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)
本学は、「医療人たる前に、誠の人間たれ」という建学の精神のもとに、地域医療に貢献する医療人育成を使命として設立されました。学則には、「まず人間としての教養を高め、充分な知識と技術とを習得し、更に進んでは専門の学理を極め、実地の修練を積み、出でては力を厚生済民に尽くし、入っては真摯な学者として、斯道の進歩発展に貢献する」ことが掲げられています。歯学教育・教養教育を通して、優れた資質と深い人間愛を有する医療人、研究者、人格的に成長できる人材の育成が、本学の目指すところです。
歯学部では、次のような人材を求めています。
- 全人的な立場で周囲と交流できる協調性のある人
- 明確な目的意識を持って、積極的に社会貢献のできる人
- 科学的な思考のもとに周囲の現象を捉えることができる人
- 医学や歯学を生涯学習の対象として捉え、意欲的に勉学のできる人
- 国際社会における医療や研究活動に、積極的に参加する意欲のある人
多様な人材を募るために、一般選抜、大学入学共通テスト利用選抜、医学部入学試験利用選抜、学校推薦型選抜、編入学者選抜により、知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・多様性・協働性などを多面的・総合的に評価し、入学者を選抜します。
一般選抜および大学入学共通テスト利用選抜、医学部入学試験利用選抜では、高等学校で履修する3教科(理科、数学、外国語)についての筆記試験と面接試験によって、入学後の修業に必要な学力を有していることを確認します。筆記試験のなかで、歯科医学を修得するために必要とされる生命現象を理論的に捉える力が身についているかを確認するために理科の試験を課します。また、歯科医療の現場で必要とされる医療統計を学ぶに足る基礎学力や国際的コミュニケーション能力を習得するための基礎学力を有していることを確認するために、「数学」、「英語」の試験を課します。面接試験では歯科医師をめざす熱意、具備すべき一般常識、社会との協調性などを確かめるとともに、高校在籍時における学修態度、課外活動などを調査書により評価します。これらの試験を通して、歯科医師にふさわしい資質とバランスの取れた人格とを備えているかの総合的な判断をおこないます。
学校推薦型選抜では、志望理由書や調査書に基づいて学習に必要な基礎知識を有しているかを確認するとともに、歯科医療の実践に必要とされる問題発見力とその問題解決に必要な思考力を有しているかを小論分にて評価します。加えて、面接試験では、歯科医療の現場で必要とされる自己の考えを人にわかりやすく説明する力や人の意見を聞きそれについて議論する力を評価するとともに、高校在籍時における学修態度、課外活動などを調査書により評価します。
編入学者選抜は、高い目的意識をもった他専門領域の履修者あるいは社会経験者を受け入れ、それらの経験を生かしながら歯科医師としての知識・態度・技能を修得するために実施しています。選抜は小論分と面接とでおこない、これらのなかで歯科医師をめざす熱意とともに、基礎知識や一般常識を質し、勉学する資質を備えているかを判断します。 なお、入学者の受け入れにあたっては、民族、宗教、国籍、年齢、性別、家庭環境、居住地域および性的指向などを問わず、多様な人材を募集します。
アセスメント・ポリシー
歯学部における評価方針(アセスメント・ポリシー)
大学
本学の建学の精神「医療人たる前に、誠の人間たれ」を深く理解したうえで、医療人として必要な資質を備えているかを、多面的な評価方法で判定します。
歯学部
本学歯学部は、歯科医師として必要な知識・技能・態度を修得し、学位を取得するに値する人材を育成するためのカリキュラムを構成しています。多岐にわたる共通教育科目、基礎専門科目、臨床専門コース(科目)におけるカリキュラムでは、以下の指針に則って学年ごとに、あるいは科目ごとに、認知領域、精神運動領域並びに情意領域を多面的に評価します。
- 講義・演習のみの科目では、知識とその応用を査定します。実習を伴う科目では、技能、態度、コミュニケ-ション能力も評価します。臨床現場での実習科目では更に倫理・遵法精神と利他精神を評価対象にします。
- 知識とその応用に関しては筆記試験や口頭試問、技能は実技試験、その他の能力は実習現場評価(レポート、スケッチ、段階的技能・行動表と業務現場評価法、および自己進達度表等を取りまとめたポートフォリオ)で査定します。
- 筆記試験、口頭試問、実技試験は数値化して達成度を査定します。実習現場評価では、可能な限り数値化できる評価法を用いて達成度を査定します。
- 評価方法の選定と合否基準の設定にあたっては、その妥当性、客観性ならびに実現可能性を考慮し、担当委員会にて定期的に見直しを行い、次年度開始時に被評価者と評価者にシラバスで呈示します。
- 歯学教育における順次性を考慮し、原則的に年度ごとの統括評価(進級判定あるいは卒業判定)を行います。
- 科目合否判定や進級あるいはまた卒業時の判定に用いる統括評価に加え、形成的評価を随時行うことで到達目標に至る道程を明らかにします。
- 卒業に拘わる試験を除く各学年での統括試験では、所定の到達目標に達しなかった場合は、再試験を行います。また、何らかの事情で試験を受験できなかった場合は、追試験を行うことがあります(獲得した点数の9割に減じられたのが、最終評価になります)。
- 第5学年次で臨床実習を行うことができる知識・技能・態度が備わっているか否かは、共用試験(CBTとOSCE)と統括試験で判定します。
- 科目履修は出席することが前提です。各学年次の講義・演習・実習を1/3以上欠席した場合、第5学年次の臨床実習を1/5以上欠席または学外連携プログラムを欠席した場合は、原則として評価対象から外れます。統括評価に出席状況は加えられません。
- 各学年の進級・卒業要件と各科目の合否基準の詳細は、シラバスに明示するとともに、学年当初に被評価者に確認をとります。
- 各科目の査定をもとにGrade Point Average; GPAを算出し、進路に対する助言をします。
- 被評価者からの照会に応じる体制を整備します(統括試験問題と正答あるいは判定基準の保管、照会時の答案開示、等)。
注)
- 大学入学者選抜時のアセスメント・ポリシーは、アドミッション・ポリシーに含めます。
- 本学学生としての資質に欠けると思われる行動をとった場合は、他に定める処罰規定によって、処分します。
- やむを得ない事由で欠席した場合の取り扱いに関しては、進級・卒業要件に記します。
用語説明)
- 判定;合否で表すものとして用いる、査定;連続変数で表すものに用いる、評価;判定・査定を包括した用語
- 段階的技能・行動表;ルーブリック、業務現場評価法;ワーク・プレイス・アセスメント WBAと言われるもので、代表的なものはMini-CEX (mini-clinical evaluation exercise)
教育担当分野紹介
分野名 | 教授科目 | URL | |
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基礎系 | 解剖学講座 機能形態学分野 | 解剖学・ロ腔解剖学 | ウェブサイトへ |
解剖学講座 発生生物・再生医学分野 | 組織学・口腔組織学・発生学 | ウェブサイトへ | |
生理学講座 病態生理学分野 | 生理学・ロ腔生理学 | ウェブサイトへ | |
生化学講座 細胞情報科学分野 | 生化学・ロ腔生化学 | ||
微生物学講座 分子微生物学分野 | 微生物学・ロ腔微生物学 | ||
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病理学講座 病態解析学分野 | 病理学・ロ腔病理学 | ||
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臨床系 | 歯科保存学講座 う蝕治療学分野 | 保存修復学・歯内療法学 | ウェブサイトへ |
歯科保存学講座 歯周療法学分野 | 歯周療法学 | ウェブサイトへ | |
歯科補綴学講座 有床義歯・ロ腔リハビリテーション学分野 | 高齢者歯科学・有床義歯学 | ||
歯科補綴学講座 冠橋義歯・口腔インプラント学分野 | 冠橋義歯学・インプラント学 | ||
口腔顎顔面再建学講座 口腔外科学分野 | 口腔外科学 | ||
口腔顎顔面再建学請座 歯科麻酔学分野 | 歯科麻酔学 | ||
口腔顎顔面再建学講座 歯科放射線学分野 | 放射線学 | ||
口腔保健育成学講座 歯科矯正学分野 | 歯科矯正学 | ||
口腔保健育成学講座 小児歯科学・障害者歯科学分野 | 小児歯科学・障害者歯科学 | ||
口腔医学講座 関連医学分野 | 医科学 | ||
口腔医学講座 予防歯科学分野 | 社会歯科学・口腔衛生学 |